Region[リージョン] No.20 | 渕上印刷
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モノをつくらず価値をつくる 「ロングライフデザイン」とは、ロング(長い)ライフ(命)…つまり流行や時代に左右されず、長く使い続けられる普遍的なデザインのこと。ナガオカさんがロングライフデザインを意識したのは、趣味のリサイクルショップ巡りがきっかけ。休日を利用して店を見てまわると、そこにGマーク(グッドデザイン賞)商品やデザイナーの作品が寂しい値段でたくさん置かれている現状を目の当たりにした。「デザインなんて機能していないんじゃないか。ゴミのほとんどはデザイナーが生み出しているんじゃないかと思いました。そこで、デザイナーである僕がリサイクルショップをやってみたらどうだろう、と。一人のデザイナーとして答えを出したかったんです」。デザイナーでありながら、「いかに新しくモノをつくらずに新しい価値をつくり出すか」をテーマに掲げたナガオカさん。そして、価値のあるデザインをリサイクルすることで、「つくらないクリエイティブ」を実行に移す。東京目線のデザインを日本のデザインと決めつけず、もっと掘り下げて全国のロングライフデザインを紹介する場所をつくりたい、追求したいという想いが、「D&DEPARTMENT PROJECT(以下D&D)」をはじめ、47都道府県から5つの切り口でその土地のデザインを集めて展示した「デザイン物産展ニッポン」、日本のメーカーの1960年代の商品を復刻する「60VISION」などのプロジェクトへとつながっていく。活動11年目を迎えてなお、想いは消費されるどころか、ますます強く湧き出しているらしい。熱意に動かされて鹿児島へこれまでのD&Dの店舗は、どうしてココに? と言われるような立地だったり、古くて使い勝手に難のあるビルがほとんどだった。しかし今回は天文館の商業ビルのワンフロア。「以前、駅ビルに出店して、思うようにいかずに撤退したことを思い出すんですよね…」とポツリ。実は今回のオファーがあるまで、ナガオカさんは鹿児島に来たことがなかったそうだ。では、なぜ苦い思い出のある商業ビルで、なぜ今まで一度も訪れたことのない鹿児島だったのか。「一言でいえばオーナーから、鹿児島を活性化したいという強い熱意を感じたから。相談された商業ビルは築50年近い建物。そこでビル全体のクリエイティブディレクターとしてディレクションに関わることになったんです。商業ビルの再生プロジェクトにD&Dが参加するというスタイルで、僕としてはビル全体がD&Dという意識もありました。各フロアにあえてコミュニティギャラリーのスペースを設け、物販だけじゃなくコミュニティの役割も果たす場所にして地域と人を結びつけるつくりにするなど、やりたい試みを盛り込めたのも理由です」。扱う商品だけでなく、売り場にもデザインを取り入れ、商業ビルは4月末にマルヤガーデンズとして歩き始めている。ものづくりへの意識の高さ 鹿児島の感想を尋ねると「ふわぁーっと、表面的にやってる人は少ないですね。真面目な印象。保守的とか排他的な県民性は感じませんでした。方向性を決めたら、一致団結して向かう情熱もあるし」と、地元民としてはなんだかうれしい言葉。鹿児島のロングライフデザインに関しては、先だって行動を起こしてD&D鹿児島店。広い店内には家具や雑貨、ユーズド商品などさまざまな商品が販売されている。ナガオカケンメイさんは、デザイナーであり、プロデューサーであり、経営者でもある。ひとつの枠には収まりきれないユニークでさまざまな活動は、デザイン界でも常に注目の的だ。そんなナガオカさんがプロデュースしている「D&DEPARTMENT PROJECT」の鹿児島店が、4月28日にオープンした。鹿児島で芽を出したロングライフデザインは、どう育ち、つながっていくのだろう。19

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