Region[リージョン] No.27 | 渕上印刷 11/40

Region[リージョン] No.27 | 渕上印刷
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フリーのイラストレーターとして、鹿児島の仕事だけでなく資生堂の商品パッケージのイラストも手掛けているchinatsuさん。「仕事のポリシーは?」と聞くと、即座に「ありません」という言葉が返ってきた。「あえて言うなら、『ポリシーを持たないことがポリシー』だと思っています。自分の絵というのもよく分からないですし(笑)。売れっ子になる気も実はあまりなくて、細く長くイラストレーターとしてやっていきたい。特に鹿児島だからという気負いもないですね」 思わず、拍子抜けしそうな言葉。そんなchinatsuさんも、がむしゃらに働いていた時期があった。資生堂からオファーが来た33歳前後。東京のエージェントと契約し、さまざまな仕事を受け、それこそ昼夜を問わずに描いていたという。「その頃は自分で言うのも何ですが、仕事一筋でしたね。ニューヨークでグループ展に参加したこともありました」 仕事に対するスタンスが大きく変わったのは、長男である空くんが誕生したこと。35歳の時だった。「それまでの生活が一変して、当たり前ですけど子どもが何よりも優先に。仕事の量も少しセーブするようになりました」 昨年11月には長女の花ちゃんも出産。現在、空くんは幼稚園に通っていて、花ちゃんが寝ている昼間にダイニングにパソコンを持ってきてイラストを描くことが多い。泣いたときには、抱っこしながら描くことも。それでもどうしても描けないときには、子どもが寝静まった深夜に一人でパソコンに向かうこともある。「大変ですね」と言うと、さらりと「プロですから、それは当たり前ですよ」。さらに主婦という立場から、より強く数字を意識して仕事を考えるようになったという。「例えばイラストの仕事で今年はこれだけ稼ぐと決めたら、そこから逆算してどんなイラストを描けばいいのか、どんなイラストに需要があるのか、ということをすごく意識するようになりました。お金のことを言うと敬遠されるかもしれませんが、きちんと生活ができる仕事をしてこそ、本当のプロだと私は考えています」 取材直後、幼稚園から空くんが帰宅。もともと優しいchinatsuさんの顔が一層ほころんだ。「多分私、欲張りなんだと思うんですよ。仕事も家庭もどちらも充実させたい。それでいいと思うんです」 気負わず、自然体。それがchinatsuスタイルだ。長男の空くんも、お母さんの仕事に興味津々。これまでchinatsuさんが手掛けた仕事の一部。本の装丁、雑誌のイラスト、CDジャケットなど多岐にわたっている。09

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