Region[リージョン] No.27 | 渕上印刷 25/40

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新規事業は「農業」!?型にはまらない発想が未来への道に 農業とは言っても、同社で行っているのはトマトの栽培のみ。この事業は平成21年に取り組み始めた。ちょうど、電子部品の製造が減少してきた頃と重なる。「リスクを分散したいという狙いがありました。しかし、電子部品に特化した私たちに何ができるんだろう? そこで従業員からアイデアを募りました」 その多くの提案の中から生まれたのが、自社製のLEDを使った農業だった。プロジェクトリーダーは、農業経験の全くなかった上野一芳技術部部長。「まずは鹿児島TLOに相談へ行きました。そこで糖度の高い塩トマトの水耕栽培に着目したんです。さらに糖度が高くならないかと、4種類(赤、青、緑、紫外線)のLED照射による実験から始まりました」 より糖度が強くなれば、プレミアム感も高まる。しかし、ことはそう簡単に運んでくれない。「LEDのパターンを変えながら実験を重ねたのですが、実は期待したほど糖度は上がらなくて(笑)。ただ栄養成分は従来よりも20%ほどアップしました。やり方によっては糖度も…と期待を込めて、今も試行錯誤を続けています」 試験段階で生育したトマトは、「薩摩甘照(さつまあまてらす)」という名称ですでに販売が始まっている。生産数が限られていたため、これまで一般的には目に触れる機会が少なかった。しかし、平成24年度からは吹上浜の近くに借りた5000平方メートルの農地での本格的な栽培がスタートする予定だ。「まずは3000㎡を使って第一期の栽培を始めます。収穫後の流通経路を整え、販売店もほぼ決まりました。余裕があれば、今後はネットで販路を広げたいと考えています。しかしまずは、『薩摩甘照』を多くの人に知ってもらうことですね」 残念ながら取材時は完熟したトマトがなかったため、その味を確かめることは叶わなかった。そこにすかさず山﨑社長が口添えする。「でもトマト嫌いの私が唯一食べられるトマトが『薩摩甘照』です」 もともと糖度の高い品種だが、同社の手法で栄養価も高められている。市場に出たらきっと話題になるはずだ。地域や人に根ざしたモノづくりの姿勢はそのままで 従業員からの小さな提案を大切に検証してフィードバックする。普段からの同社の姿勢が新規事業に光をもたらした。当然ながら、従来の半導体事業にもこれまで以上の熱意を込める姿勢だ。「日本の製造業は海外に押されていますが、長期的に見ると国内生産のメリットはあります。海外製品に比べると価格では太刀打ちできません。それでも選んでもらえる品質や価値を作ること。私たちの経験とノウハウの蓄積はどこにも負けないと自負しています」 同社の製品はデジタル機器には不可欠。次世代の照明の光源としての需要も生まれている。農業での結果を出せば、農業用LEDの製造という道も開ける。鹿児島の人や風土を生かしながら、新たな「創意工夫」を続ける同社。まずは今夏に収穫されるであろう、「薩摩甘照」を心待ちにしたい。※Technology Licensing Organization(技術移転機関)の略。大学研究者の研究成果を特許化し、それを企業へ技術移転する法人。「常に創意工夫することが大切です」と語る山﨑社長。鹿児島高槻電器工業株式会社会社概要所 在 地 : 本社/鹿児島県南さつま市金峰町中津野488-1 溝辺工場/鹿児島県霧島市溝辺町竹子610設 立 : 昭和51年7月資 本 金 : 8,000万円従業員数 : 80名業務内容 : 半導体レーザ・発光ダイオードなどの 半導体製造、農業http://www.kinpo-takatsuki.co.jp/発芽したトマトにLEDを照射。色の違いによって発育も変わるそうだ。収獲されたトマトを使用したジャム。道の駅などで販売されている。company overview※23

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