Region[リージョン] No.27 | 渕上印刷
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http://twitter.com/kagotetsunow思い出の朱いディーゼルカー子どもの頃、家の縁側から国鉄鹿児島本線を行き交う列車を見るのが何よりも楽しみだった。全国統一の国鉄色で塗られた長い編成の列車が多い中、たった1両で颯爽と駆け抜ける朱色のディーゼルカーに僕は異常に興味を持っていた。「鹿児島にも新幹線を」という風が吹き始めた10歳の頃、その列車が鹿児島交通という私鉄であることを知った。伊集院駅を起点に、薩摩半島を西海岸沿いに加世田を経て枕崎まで結び、全盛期には知覧や万世を結ぶ路線もあったという。地元の人たちから南薩線(なんさっせん)の愛称で親しまれていた県内唯一の私鉄は、時代の流れによる乗客減と昭和58年6月に発生した加世田豪雨被害により、昭和59年3月、多くの人たちに惜しまれながら70余年の歴史に幕を閉じた。写真のディーゼルカーは国鉄線乗入れ用に昭和29年に製造されたキハ300形で、廃止前に伊集院駅で撮影したものだ。朝昼夕1日3往復設定された西鹿児島駅までの直通列車は、伊集院駅から国鉄鹿児島本線に乗入れていた。運転士さんも車掌さんもそのまま乗務されていたのを覚えている。遠くは枕崎まで結んでいた列車もあったこの時代に、薩摩半島をぐるりとテツ旅しなかった自分が今も悔やまれる。現いま在、休日にJR鹿児島本線内を1両で軽快に走る肥薩おれんじ鉄道の乗入れ車両を見ていると、鹿児島まで延びてくる新幹線を夢見ていたあの頃が懐かしく思い出される。34写真と文:キヨスカ

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