Region[リージョン] No.28 | 渕上印刷
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中央卸売市場に比べると規模は格段に小さく、何となくゆっくりしている。青果のセリが8時から始まり、そのセリが終わると魚類のセリが始まる。と聞いていたのだが、8時直前にもかかわらず、場内には和気あいあいとした会話と笑顔がこぼれていた。地方市場に仲卸はおらず、地元の商店や八百屋など買受人と呼ばれる人たちがセリに参加している。互いに譲り譲られのアットホームな空気 8時の鐘が鳴り、青果のセリが始まった。並んでいる野菜の品揃えは量こそ少ないが、種類は豊富だ。さつま町周辺で採れるコサンダケと呼ばれるタケノコが多く並んでいるのが、ここならではといったところ。 ここでのセリも、中央と同じく全て指ゼリで行われている。「はい、次は玉ねぎ、50から、50、50、50、50! はい、74番と93番」。セリ人の言葉が中央卸売市場と比べるとだいぶ聞き取れるようになってきたと感じたのは、言葉や数字の発音が幾分分かりやすかったからか。ただ、独特のリズムと抑揚があるのはここも同じだ。 また、魚の方はというと、残念ながらほとんどセリらしいセリはなかった。さつま町は海に面していないため、専門業者が毎日中央卸売市場から魚を仕入れてきて並べている。そのほとんどは注文によるもので、実際に売買される魚はごく少しとのこと。気が付けば台の上に載せられていた魚は、あっという間になくなっていた。 ここでは競り落とした品物の上に、買受人の番号が書かれたプラスチックの、まるで矢印のような札を載せていく。面白かったのは、投げた札が品物の上に乗らなかったら、近くにいた人が自然と札を直していたこと。また、競り落とした野菜を半分ずつ分けるという風景もしばしば。人数が少なく、誰もが顔見知りという理由もあるだろうが、そこには互いに支え合っていこうとする思いやりと譲り合いの気持ちが感じられた。3代目がいることはきっと素晴らしい セリに参加していた、一番若い買受人に話を聞いてみた。山之口真広さんは30歳。さつま町で経営している個人ストア「山之口ストア」の3代目だ。父親の跡を継いで昨年の6月からセリに参加している。「最初は指の形が全然分からなくて、欲しいものが全然取れませんでしたね(笑)。今ではだいぶ慣れましたけど」 まだまだ新人と謙遜する山之口さんだが、地方市場の厳しい現状は日頃から感じているようだ。「ここも昔に比べたらだいぶ人が減ったと聞いています。ここで野菜を買わないと、野菜を作る人も減ってしまう。みんなで地域を守っていくことが大切かなと感じています」 そう感じている山之口さんの存在こそが、希望の星なのでは?とさすがに初対面では言えなかったので、誌面で言わせていただきました。セリも和気あいあいとした雰囲気で進む。セリが終わった後に、欲しい品物を融通し合うこともしばしば。右/競り落とした品物の上に、買売人の番号が書かれたプラスチックの札を置くのがここのルール。中/笑顔がとても素敵な買売人の山本さん。手にしているのは、北薩地方名産のコサンダケ(タケノコ)。左/「ちょっと食べんね」と刺身をすすめてくれた岩本さん。毎朝、中央卸売市場の魚類市場から魚を運んでくる。

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