Region[リージョン] No.28 | 渕上印刷
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夜明け前の港にあふれる活気とセリ声午前3時、鹿児島市城南町の鹿児島市中央卸売市場魚類市場。6時からのセリ開始に向けてトラックが続々と到着し、積荷を下ろす作業が始まっていた。漁船から水揚げされたばかりのカツオは大きな水槽に移し替えられ、そのまま場内へと運ばれる。すでに場内に並べられていたマグロには重さが記された紙が貼られ、その隣にはまるで剣のように伸びた上顎が切り落とされたカジキマグロもずらり。ほかにも鯛やキビナゴ、カツオ、アジ、真蛸に伊勢エビなど数えきれないほどの種類の魚が、所狭しと並べられている。ここは錦江湾だけでなく、県内外からありとあらゆる種類の海産物が集まる、まさに県民の台所なのだと実感。セリは鹿児島県漁業協同組合連合会(県漁連)と九州中央魚市株式会社という2つの卸売業者によって行われ、県漁連のセリ人は赤、九州魚市は緑の帽子をかぶっている。県漁連のセリ人、中島哲二さんによると、セリ人になるには3年以上の実務経験と筆記試験が必要で、さらに5年ごとに更新しなくてはいけない。中島さんもセリ人になったばかりの頃は、熟練の仲卸に怒られることが多かったと笑う。また、大声を張り上げるために体力も必要で、夏場のセリが終わるといつも大量の汗をかくという。セリに参加できるのは、市場開設者(魚類市場は鹿児島市)の承認を受けた仲卸業者と売買参加者のみ。仲卸とは、セリを通じて卸売会社より仕入れた品物を市場内で小売店などに販売する業者のこと。売買参加者は問屋や大型スーパーなど市場の外に店舗があり、セリに参加できる人のことを指す。品物の価格は品質の良否や需要関係によって大きく変化するが、仲卸はそれらの条件を加味しつつ、値段を決定する。また、小規模店の需要に合わせて、大きな単位の商品を小分けにする機能も仲卸独特のもの。現在、魚類市場には29の仲卸があり、それぞれ取り扱う品目に特徴がある。家族で代々受け継いでいる店も多い。プロとプロとの一瞬の真剣勝負6時、「ただいまからセリを開始します。張り切ってお願いします」という場内アナウンスが流れると、セリ人が鳴らす鐘が広い場内のあちこちで高らかに鳴り響く。セリは魚の種類によって、それぞれの場所で行われる。マグロやカジキマグロは太物、キビナゴやアジは青物、ブリやカンパチなどの養殖物、ムツや金目鯛は瀬物、ヒラメやイサキなどは近海物、貝類や伊勢エビなどは特殊物といった具合だ。セリの花形ともいえる、カジキマグロのセリを見学。セリ人はセリにかける商品を提示し、笛を3回鳴らす。この笛が鳴っている間に、仲卸や売買参加者は2つ折りの小さな黒板に値段を書いて、セリ人だけに見えるようにわずかに開く。セリ人は時に体を伸ばして黒板をのぞきこみ、一瞬で最も高額な値段を鹿児島市中央卸売市場魚類市場市場にはさまざまな種類の新鮮な魚介類が揃う。左から真蛸、アカアラ、キビナゴ。上/手の平サイズの黒板に金額を書き込む仲卸。その日の取引状況や相場によって、素早く判断することが求められる。下/セリで提示した金額が同じだった場合は、じゃんけんで決める。セリには運も大切なのだ。07

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