Region vol.43
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「縁あって坊津に来ました。せっかくなら、小さなことでもいいから地域に役立つ人間、必要とされる人間になりたいと思っています。そのために一生懸命働くこと。そんな思いが、地元の方々に認めてもらったのかなと思います。まだまだ道半ばかもしれませんが」 お世話になっているという、工房のすぐ近くで「浜んこら」というカフェを経営している岩下伸江さんと村主さんとの掛け合いは、まるで漫才コンビのようだ。「いつもこうやって冗談ばっかり言うんですよ」と岩下さんは笑う。しかし店名やメニューなどについて、村主さんの経験から的確なアドバイスをもらうなど、頼りにもしている。 地元の観光ボランティアガイドにも所属し、飄々としていながらしっかりと地元に愛されている村主さん。潮風が漂う小さな港町にその足跡を残すべく、魚醤と燻製作りに励む日々はまだまだ続いていくに違いない。 最後に紹介するのは、鹿児島に移住してくる人のためのサポートを行っている「かごしま企業家交流協会」の吉永一己事務局長から推薦していただいた、東さつきさん。女性の方にもぜひ話を聞きたいと相談して、教えていただいた方だ。 3月、土曜日の昼下がり。霧島市隼人町の天降川沿いにある「Noah Coffee」の小さな店内には、オーナーである東さんの笑い声と焙煎されたコーヒー豆の香りが満ちていた。 東さんが霧島市に移住してきたのは2008年。出身は沖永良部島で高校卒業後、名古屋市立栄養専門学院(現在は名古屋市立大学に移管)で栄養士の資格を取得。外食店のレシピを提案したり、糖尿病の生活アドバイザーとして働いていた。その後結婚し、子どもにアレルギーがあったことから、移住を考えるようになったという。「当初は軽井沢や那須塩原などの避暑地を考えていたのですが、たまたま霧島市の不動産会社に電話をしたら『どうして土地を探しているんですか?』と聞いてくれて。そんなことを聞いてくれた会社は初めてで、一度霧島市を見てみようかなと」 同じ県内出身とはいえ、霧島市を訪れたのは初めてだった。しかし、緑豊かな自然が広がり、温泉も身近にあり、空港が近くアクセスも良かったことからその日のうちに移住を即決。初めて訪れてから半年足らずの間に家も建て移住してきた。 移住してあらためて、菜の花が一面に咲く霧島の美しい景色に心が癒された。そして何より驚いたのは、地域の方々の優しさだった。「引っ越してきた次の日に、近所の方から野菜を頂戴して。その次の日も、次の日も。数えたら33日間もらい続けたんですよ(笑)」 とはいえ、誰も知らない土地。ここが自分の場所だと覚悟を決めて暮らすことを決意した。「格好よく言うつもりはないですが、まずは一人ひとりと丁寧にお付き合いしていこうと思いました」 移住から3カ月後には自宅の一部でカフェをオープン。もともと移住前から考えていたという。「食に関する仕事に携わってきて、外食産業の裏側も見てきました。ここが自分の場所だと覚悟を決めるないなら作る。島でコーヒー栽培を始める「Noah Coffee」ではコーヒー豆の販売だけでなく、コーヒーやスイーツも店内で楽しめる。誠実さを持てば、きっと味方になってくれる

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