Region vol.43
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福島大輔(ふくしま・だいすけ)1973年鹿児島市生まれ。2001年鹿児島大学大学院理工学研究科博士課程修了。博士(理学)。同年4月から鹿児島大学理学部非常勤講師(~現在)。02年12月から05年3月まで京都大学防災研究所附属火山活動研究センター(桜島火山観測所)任期付研究員。05年5月NPO法人桜島ミュージアム設立、理事長に就任。14年エコツーリズム大賞優秀賞、MBC賞受賞。16年4月より福岡大学客員准教授。桜島ミュージアムが運営するサイト「みんなの桜島」http://www.sakurajima.gr.jp前段階の現象を研究。論文の評価が高く、研究テーマに魅力も感じていたことから、博士課程にまで進学した。「地域を博物館に見立てる」桜島をエコミュージアムに修了後、専門知識を生かした仕事をと考えていたが、研究者のポストは狭き門だった。そんな時期に出会ったのが、地域の自然や文化を博物館に見立てて地域づくりや観光に取り組む「エコミュージアム」の考え方だ。福島さんは、これを桜島でやってみたいと考えた。阿蘇にエコミュージアムの活動をしている人がいると聞くと、さっそく訪ねて教えを請うた。「何から手をつけたらいいのかわかりませんでしたが、阿蘇の例にならって『桜島友の会』を設立し、月に一度の地域魅力発見イベントで火山の魅力を伝える活動を始めました」。エコミュージアムには、地域を知ることが防災につながるというコンセプトもある。これを実践したいと考えた福島さんは、京都大学防災研究所の任期付研究員に応募。採用後は、桜島での防災教室や砂防施設ツアー、講演会などを企画・実施し、地域と防災を結びつける試みを行った。「火山インタープリター」の必要性と可能性2005年5月、福島さんは桜島友の会を発展させ、「NPO法人桜島ミュージアム」を設立した。体験プログラムの提供や、修学旅行の受け入れ、椿油をはじめとする桜島関連商品の販売などを行っている。桜島ミュージアムの体験プログラムは、現在25。軽めのものから、理学博士の福島さんが付きっきりで案内する「火山博士と行く桜島ツアー」まで、バラエティに富んだラインアップだ。福島さんのおすすめは「桜島ナイトツアー」。「安全を確保した状況で、火映が夜空に輝くダイナミックな光景を見学します。車やバイクの音が聞こえない『秘密基地』で見ますから、自然と同化して楽しめるんです」と福島さん。他にも、桜島のスポットを巡って点数を競うロゲイニング、日本のみならず世界各地で人気を集める「リアル脱出ゲーム」の桜島版など、プログラムの開発にも意欲的だ。今日も噴煙を上げる桜島。これまでの噴火の歴史をたどれば、今後大きな噴火も起こるだろう。一方で、桜島は私たちに大きな恵みも与えてくれる存在である。だからこそ科学的根拠に基づき、正確な情報をわかりやすく発信する「火山インタープリター」が各所に必要だと、福島さんは考えている。「去年の8月や今年2月の久しぶりの噴火の時のように、ちょっとしたことで大騒ぎしないためにも、桜島の状況を正確に伝える攻めの情報発信が不可欠。桜島・錦江湾ジオパークをもつ自治体として、鹿児島市にこういう人材は必要ですし、地元のマスコミにもいたほうがいい。地域を守るための情報発信をしなければ」。火山インタープリターを通して、噴火は日常であると全国に浸透すれば、噴火そのものがより魅力的な観光素材となる。「アイスランドやハワイでも火山の観光がありますが、モクモクと上がる噴煙を観察できるのは、桜島ぐらい。市街地から近いという利便性もある。そんな桜島を安全に観光するための仕組みづくりに、地域の方々と協議しながら取り組んでいきます」右/福島さん企画の「桜島での今後の観光を語る会」では、観光業関係者や自治体職員で桜島の観光のあり方や情報発信について議論。左/「桜島を知りたいならこの2冊」と福島さんがおすすめする『みんなの桜島』(南方新社)、『桜島!まるごと絵本』(燦燦舎)。

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